人生のどこかで「自分は何者かである」と思い込んでいた時期がありました。会社員として働きながらも、胸の奥には「独立したい」「挑戦したい」という気持ちが常にありました。しかし、実際には何もできず、ただ日々をこなしているだけ。そんな自分に嫌悪感を抱きながら、心の中で葛藤していたのが、ちょうど『上京物語』(喜多川泰)と出会った頃の私です。
この本は、主人公の祐介が父からの教えを受け取りながら成長していく物語形式の自己啓発書です。特に「失敗を恐れずに挑戦する勇気」と「自分が行動を起こせていないことに気づく」というメッセージが、当時の私の心を強く揺さぶりました。
自分に重なった主人公の姿
物語を読み進める中で、主人公の葛藤と自分の姿が重なりました。祐介は「何者かになりたい」と思いながらも、実際には行動できずに立ち止まってしまいます。
その姿に、自分を見ているような感覚がありました。
当時の私は、独立や起業に憧れながらも、行動できていませんでした。人に会いに行くことも、新しいことに挑戦することも怖くてできなかった。頭の中では「自分は何者かである」と思い込みながら、実際の行動はゼロに近かったのです。
胸に刺さった言葉
そんなときに出会った一節がこちらです。
「最もつまらないのは、人との約束を破る人ではなく、自分との約束を破る人だ。」
この言葉を読んだ瞬間、胸が締め付けられるような感覚がありました。まさに、自分がそうだったからです。やりたいと思っても動かず、やると決めてもやらずに終わる。その度に自己嫌悪に陥り、自信を失っていました。
さらに、本の中ではこんな言葉も出てきます。
「失敗を恐れるな。挑戦の数こそが人生を豊かにする。」
私は頭では「挑戦したい」と思っていながら、失敗を恐れて何も行動できずにいました。失敗しなければ傷つかないし、現状を守れる。でも、それは何も生み出さないということに、この言葉を通じて突きつけられた気がしました。
行動できなかった自分と向き合う
思えば、子どもの頃の私は挑戦することに迷いはありませんでした。自転車に乗れるようになるまで何度も転び、膝を擦りむいても立ち上がっていました。転ぶことを恐れるよりも、「乗れるようになりたい」という気持ちの方が強かったからです。
それなのに、大人になった私は少しつまずいただけで「やっぱりやめよう」と諦めるようになっていました。失敗することを恐れるあまり、挑戦すること自体を避けるようになっていたのです。この本を読んだことで、忘れていた「挑戦する自分」を思い出しました。
小さな挑戦を積み重ねることから始めた
本を読んだ後、私は意識的に小さな挑戦を始めました。
まずは「人に会いに行くこと」。これまでの私は、知らない人に会うのが怖く、どこか自分を守って閉じこもっていました。でも、本に背中を押されて、「とりあえず行ってみよう」と一歩を踏み出しました。
次に「環境に飛び込むこと」。新しいコミュニティやイベントに参加し、今まで出会えなかった人たちと関わるようになりました。最初は不安でいっぱいでしたが、動いてみると案外大きな失敗はなく、むしろ新しい出会いや学びが次々に生まれました。
それはまるで、自転車の練習のようでした。何度も転んで膝を擦りむいても、やがて自然と乗れるようになる。挑戦も同じで、最初はぎこちなくても、続けていれば必ず前に進めるのだと実感できました。
この本がくれた「行動のきっかけ」
『上京物語』を読むまでは、私は「挑戦したいけど動けない人」でした。しかし、読み終えた後には「小さくても挑戦し続ける人」になろうと決めました。
- 失敗してもいい
- 行動できなかった自分を責めるのではなく、まず一歩を踏み出す
- その積み重ねが自分の未来を形づくる
そう考えられるようになったのは、この本のおかげです。
当時の自分と同じような人へ
この記事は、当時の自分と同じように「挑戦したいけど一歩が踏み出せない」20代社会人や、独立を迷っている同世代に向けて書いています。
もし今、やりたいことがあるのに行動できていないとしたら、この本はきっと大きな気づきを与えてくれると思います。自分に必要な言葉が、物語の中に必ず見つかるはずです。
まとめ
『上京物語』は、単なる自己啓発本ではなく、自分自身の姿を映し出してくれる鏡のような存在でした。
「失敗を恐れるな。挑戦の数こそが人生を豊かにする。」
「最もつまらないのは、自分との約束を破ることだ。」
これらの言葉は、今でも私の背中を押し続けています。
あの頃の自分がこの本と出会ったからこそ、今こうして独立し、挑戦を続ける人生を選ぶことができています。これからも、この言葉を胸に、選んだ道を正解にしていきたい。そして同じように迷っている人に、挑戦する勇気を届けていきたいと思います。

